制度の概要
「法務局における遺言書の保管等に関する法律」(以下、「遺言書保管法」といいます。)は、法務局において、自筆証書遺言の保管及び、情報の管理を行う制度です。そして、従来の制度では、自筆証書遺言を用いて遺言執行する場合、家庭裁判所での検認手続きが必要でしたが、この制度を利用し、保管した遺言書については、家庭裁判所の検認の手続きを経る必要がなくなります。
なお、公正証書遺言の場合は、従来から遺言書の検認手続きは必要ありません。
この制度の創設により、自筆証書遺言であっても、紛失、変造等を防ぐことができるようになり、また、遺言書の検認手続きを省略できるため、預貯金の相続手続き等をすみやかに進めることができるようになることが期待されます。
遺言書保管の申請について
遺言書の保管に関する事務は、法務大臣の指定する法務局が、遺言書保管所としてつかさどります(第2条)。
そして、遺言書保管所における事務は、遺言書保管官(遺言書保管所に勤務する法務事務官のうちから、法務局又は地方法務局の長が指定する者)が取り扱うものとしています(第3条)。
遺言書の保管の申請は、遺言者が遺言書保管官に対し行い、法務省令で定める様式に従って作成されたもので、無封のものでなければならず、遺言者本人が出頭して行わなければなりません(第4条1項、2項、6項)。
遺言書保管の申請地は?
・遺言者の住所地
・遺言者の本籍地
・遺言者が所有する不動産の所在地
上記いずれかを管轄する遺言書保管所の遺言書保管官に対し、遺言書保管の申請を行います。
なお、遺言者の作成した他の遺言書が現に遺言書保管所に保管されている場合にあっては、当該他の遺言書が保管されている遺言書保管所に対しても申請することができます。
遺言書保管の申請書の記載内容は?
①遺言書に記載されている作成の年月日
②遺言者の氏名、出生の年月日、住所及び本籍(外国人にあっては、国籍)
③遺言書に次に掲げる者の記載があるときは、その氏名又は名称及び住所
・受遺者
・遺言執行者
申請に際しては、遺言書保管官により、申請人の本人確認が行われます。
上記のほか、遺言書保管法では、遺言者による遺言書の閲覧請求や遺言書情報証明書の交付請求、関係遺言書の閲覧請求、遺言書保管事実証明書の交付請求等についても規定されています。
各請求についてのお話は、割愛しますが、相続人等は、遺言書情報証明書の交付を受けることにより、相続登記の申請ができるようになるようです。
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